昼下がりの街と、軽い背中

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2003年の夏前、私はオーストラリア東海岸の小さな街に滞在していた。海から少し離れた安宿に長めに腰を落ち着け、昼は仕事探し、夕方になると街を歩く。強い日差しが和らぐ時間帯になると、観光客と地元の人が入り混じり、通りは少しだけ賑やかになる。特別な予定はなく、ただ歩きながら店先を眺めるだけの時間だった。

その街では、長期移動用の大きな荷物は宿に置いたまま外に出るのが普通だった。ただ、日本から持参したボディバッグに入るものには限りがあり、水や上着、ちょっとした書類を持つと手が塞がる。何も持たずに出ると、途中で必要なものが出てくる。持ちすぎると、今度は邪魔になる。その日の外出も、何を持つかで少し迷っていた。

結局、Woolworthsで買った、今でいうエコバッグに入れて出てみたが、歩くたびに中身が揺れ、片手がずっとふさがる。店に入るたびに持ち替え、ベンチに座ると足元に置く。落ち着かない感じが続き、街歩きそのものより、荷物の扱いに意識が向いてしまっていた。

数日後、宿の近くの雑貨店で、小さめのデイパック(サブバッグ)を手に取った。
2003年当時、ケアンズ郊外のヌーサという街の雑貨屋で、感覚的に数千円台だった。

大きな荷物の補助として使う前提だったので、深く考えずに選んだ。翌日からそれを背負って街に出ると、両手が空いた状態で歩けることに気づく。水と薄手の上着、折りたたんだ書類を入れても、背中に重さはほとんど感じなかった。店に入るときも、ベンチに座るときも、動作が一つ減る。それだけで、街を歩くリズムが整った。

使っているうちに、その小さなバッグは、短時間の外出にはいつも一緒になった。市場へ行くときも、バスで隣町へ出るときも、背負っていれば十分だった。目立つ存在ではないが、置き場所や持ち方で迷うことがなくなったのは確かだった。

今でも日常的にサブバッグを背負う習慣が残っているが、振り返ると、なくても困らなかったかもしれない。ただ、あの街での昼下がりを思い出すと、背中に軽く収まっていた感触が浮かぶ。あってよかった、というより、なかったら少し面倒だっただろう、という程度の存在だ。

旅の舞台裏

サブバッグは持っておくと重宝します。

空港で出会う、海外からのバックパッカーによくあるスタイルとして、前にサブバッグ、背中にバックパックというものがあります。物理的にバックパックに入りきらないものをサブバッグに入れるという意味もありますが、前に配置することで大きなボディバッグとしての役割も果たします。持つ順番としては、まずバックパックを背負って、その後に前にサブバッグをかける流れです。

旅の途中で宿を取り、そこを拠点に行動する場合には、バックパックにほとんどの荷物を残し、必要なものだけをサブバッグに詰めて行動します。街中であればボディバッグ程度で問題ないのですが、小旅行的な動き方をする場合はとても役に立ちます。当時は特に現地情報は紙媒体が多かったので、それらを収納するためのスペースが必要でした。

今では機能的なものもあり、選択肢は増えていると思いますが、逆に目的を絞れば安価なものも存在するので、旅のスタイルに応じて準備すれば良いと思います。雑に扱っても壊れないタフさとか、最悪痛んだり汚れたりしたら、買い換えられるものの方が使い勝手がいいかもしれません。

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