オーストラリアの強い陽差しは、あらゆるものの色を奪っていくようだった。広大な大地を移動するバスの窓からも、滞在先のドミトリーの裏庭からも、乾いた熱気が立ち上っている。バックパック一つで移動を続ける生活において、避けて通れないのが洗濯の問題だった。
町から町へ移動する間、洗濯物は溜まっていく。宿にランドリー設備があれば幸運だが、小さな町の古い宿では、壊れかけの洗濯機が一台あるだけということも珍しくなかった。
通常洗濯はシャワーを浴びつつ、自分の身体と共に衣類も洗う。そのため旅の荷物には常に固形石鹸を忍ばせていた。基本は貧乏旅なので、洗濯はもちろん、衣類の乾燥はもっぱら宿泊しているドミトリー部屋だ。
二段ベッドのフレームにTシャツを引っ掛けてみるが、風が通らずに生乾きの匂いが残る。かといって、共用のテラスにある物干し台は常に先客のタオルで埋め尽くされていた。自分のベッドのわずかなスペースを活用して、効率よく、かつ確実に乾かす方法を考えなければならなかった。湿った衣類を抱えたまま次の町へ移動するのは、バックパックの中身を重くし、気分まで停滞させる原因になるからだ。
私はサブバッグの底から、編み込まれた一本の細い紐を取り出した。
それは、両端にフックがついた自転車の荷台用のロープ だった。
洗濯をしないときはバックパックの外側に、テントやマットをくくることのできる優れモノ。
ピンチを使わなくても、二本のゴムを捻り合わせて、その隙間に衣類の端を挟み込むだけで固定することができる。二段ベッドの支柱と、窓際の金具にそのフックを引っ掛ける。ピンと張ったラインに、手洗いしたばかりの靴下やシャツを次々と挟んでいく。
窓から入り込む乾いた風が、細いロープの上で衣類を揺らした。数時間もすれば、オーストラリアの乾燥した空気が湿り気をすべて吸い取ってくれる。夕食を終えて部屋に戻る頃には、Tシャツはパリッと乾き、独特の清潔な匂いを放っていた。
翌朝、乾いた洗濯物を畳んでバックパックに詰め、ロープを小さく丸めてポケットに仕舞う。その一連の動作が、旅の秩序を保っているような気がした。
結局、旅の間中、私はこの紐を使い続けた。特別な技術も力もいらない、ただの細いロープ。けれど、それがあってよかったと思う。なかったら、生乾きのシャツをバックパックに押し込むときの、あのわずかな憂鬱を何度も味わうことになっていただろう。
旅の舞台裏
カッコよく、洗濯用のロープとしたいところですが、実際には自転車荷台用のロープを代用していました。
ラウンド中は何かと荷物を減らしたくなるので、何かと兼用のアイテムは数多く存在します。
場所によってはロープを張れないとこもままあるので、洗濯物を干す用としては、実際は使ったり使わなかったりでしたが、バックパックに入りきらない、テント用のマットを括り付けるという用途では、常に使っていました。
洗濯用途を主とするならば、やはりちゃんとした洗濯用の方が良いと思います。
自転車荷台用のロープはゴムなので、重さに弱くて、夏用1日分程度ならば問題ないのですが、それ以上に重くなると、ゴムが伸びて耐えられなくなってしまうので。
両側にフックがついていましたが、張れる場所の幅はまちまちなので、結局フックは使わず、ある程度の長さで、端を結んで使っていたりなどしました。
今はピンチ付の洗濯ロープもあって、とても便利ですね。

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