この記事の前半は、2003年の実体験をベースにした「ショートストーリー」です。
後半の「旅の舞台裏」に、マルチツールの選び方と使い方をまとめます。
※この記事にはプロモーション(アフィリエイトリンク)が含まれます。合う/合わないも含めて正直に書きます。
結論(忙しい人向け)
マルチツールは、毎日欠かせない道具というわけではありません。
ただ、「ちょっと切りたい」「少し締めたい」「今すぐ開けたい」といった場面がふと訪れる人にとっては、非常に頼りになる存在です。
はさみ・ドライバー・栓抜き・やすり・プライヤーなどをひとまとめに持てる点は大きな強みで、選び方次第では、日常使いからアウトドア、ちょっとした作業まで幅広く対応できます。
選ぶ際は、次の3点を意識すると失敗しにくくなります。
① 毎日持ち歩いても負担にならない重さか
② 自分が実際に使う機能がきちんと揃っているか
③ 刃物の携帯に注意が必要な場面ではないか
このあたりを押さえておけば、自分に合った一本を見つけやすくなります。
ショートストーリー|渡航前の想像と、異国での答え合わせ
最初にマルチツールを手に入れたのは、まだ日本にいたときだった。 これから始まるワーホリという非日常の世界へ飛び込むなら、こういうのが一つあれば、きっと何かと便利なんじゃないか。そんな、少し浮足立った想像を形にしたのが、最初の一丁だった。
たしかに、大きな冒険を夢見ていたわけじゃない。 けれど、シェアハウスに届いた段ボールのテープを切りたいときや、ガタつく家具のネジを締めたいとき、出先で荷札の端を整えたいとき……。そんな些細な困りごとが重なったときに、自分の手でパッと解決できる「万能な自分」でいたかったのだと思う。
日本にいれば、はさみもドライバーもある。 慣れ親しんだ実家の工具箱だってある。だから、本当に「必要か」と聞かれたら、たぶんNOだった。けれど、必要なものが“日本にある”ことや“誰かに借りればある”ことと、今この手元にあって“すぐに使える”ことは、全く意味が違っていた。
それで、期待と一緒にその小さな塊をバッグに詰め込んだ。
実際に生活が始まってみると、ポケットに入れるには少し重い日もあったけれど、バッグの隅にはいつも収まりがよかった。 封を切る、糸を切る、緩んだ金具を締める。 ひとつひとつは、誰に報告するまでもない小さな作業だ。でも、そのたびに「あとで誰かに借りよう」とか「帰ってからでいいか」と自分の行動を後回しにしなくて済むのが、何よりも心強かった。
しばらく使って気づいたのは、便利さ以上に、「自分への信頼が揺らがなくなる」ことだった。
何かをやろうとして、道具がなくて立ち往生する。知らない土地でその小さな「おあずけ」を食らうと、せっかくのやる気が少しずつ削られていく。その「小さな空振り」が減るだけで、異国での暮らしはぐっと自分のものになっていった。
もちろん、何でもできるわけじゃない。 本格的な修理なら専用工具がいいし、硬いものを切るなら専用の刃物のほうが安心だ。マルチツールは万能ではなく、あくまで“応急の名手”みたいな存在でしかない。
それでも、ないよりは明らかに救われる場面がある。 しかも、その場面はだいたい予告なく、不意にやってくる。 あのとき日本で「なんとなく便利そう」だと思って選んだ自分は、案外、間違っていなかった。結局、こいつが今も手元に残っているのは、機能の多さ以上に、この心細い異国の日常を支える「確かな手応え」をくれたからだと思う。
旅の舞台裏|ビクトリノックスと私の20年
そのマルチツールは、ワーホリのためにわざわざ用意したものではありませんでした。
もともとアクティブに活動することが好きで、中学・高校時代に友人と自転車で3泊ほどの旅をすることがありました。そんなアウトドア生活に「あると便利かな」と、親に買ってもらったのが始まりです。東急ハンズのショーケースで見るたびに憧れていた、ビクトリノックスでした。
それほど多くの機能が付いたモデルではありません。2種類のナイフとのこぎり、栓抜きやマイナスドライバーなどが付いているだけでしたが、ふとした瞬間に役立つ実用性はもちろん、何より「これを持っている」という優越感や安心感が、大きな魅力だったのだと思います。
ワーホリ中も、常に活躍の場があったわけではありません。それでも、特にキャンプ生活が続いたときなどは、ロープを切ったり袋を開けたりと、ふとした瞬間に重宝していました。他のもので代用はできても、さっと取り出せる道具が手元にある安心感は、常に私を支えてくれていました。
そんな魅力的なアイテムでしたが、実は今はもう手元に残っていません。 後日、香港へ旅行した際のことです。うっかり手荷物に入れたままにしてしまい、空港で没収され、そのまま戻ってくることはありませんでした。
今でも同じ型のものを見かけると、当時のことが懐かしく、また手に入れたいという気持ちになります。あの一件以来、手荷物のチェックは欠かさない。あのマルチツールは、そんな旅の学びも私に残してくれました。
選び方|マルチツールで失敗しない3点
1. 「重さ」は「持ち歩く頻度」に直結する
一番大事なのは、機能の多さよりも「毎日持ち歩けるかどうか」です。 本格的なモデルは頼もしいですが、ずっしり重いと結局バッグの底に眠らせてしまいがち。逆に、キーホルダー感覚で持てる軽いモデルは、できることは限られますが、いつでも「さっと取り出せる」強みがあります。 迷ったら、「バッグに入れっぱなしで苦にならないか」「ポケットが重くて垂れ下がらないか」を想像して選ぶのがコツです。
2. 「これ、本当に使う?」を厳選する
「何でもできる」は魅力的ですが、使わない機能はただの「重り」になってしまいます。
- 街歩き・日常メインなら: はさみ、ドライバー、ピンセット
- キャンプ・自炊多めなら: のこぎり、栓抜き、缶切り ブランドのカタログを見ると目移りしますが、まずは自分の旅のスタイルを思い浮かべてみてください。「自分の生活の、どの場面で役立ちそうか」が見えてくると、必要なモデルが自然に絞られてきます。
3. 「持ち歩きのルール」だけは忘れずに
マルチツールは便利な道具ですが、ナイフが付いているモデルは持ち歩き方に注意が必要です。 日本では、たとえ小さなツールナイフでも「なんとなく便利だから」という理由だけで常時持ち歩くのは、法律やルールの対象になる場合があります。 「使う予定があるときにだけ持ち出す」、あるいはナイフのないモデルを選ぶ。そんな「スマートな付き合い方」ができるのも、良い旅人の条件です。もちろん、飛行機に乗る際のチェックもお忘れなく!
おすすめ
合う人:小さな作業をその場で片づけたい/キャンプや外遊びで道具をまとめたい/荷物を少し減らしたい
合わない人:普段ほとんど工具を使わない/重さに敏感/刃物の携帯に不安がある(→ナイフレスモデルが安心)
まずは日常向けの一本(はさみ・ドライバー・栓抜き中心) ▶ 軽量・スモールモデル(楽天)
アウトドア寄りの本命(ブレード・缶切り・のこぎり装備) ▶ 中型・スタンダードモデル(楽天)
作業寄りで選ぶなら(プライヤー付きのフルサイズ) ▶ プライヤーベースモデル(楽天)
よくある質問(FAQ)
Q1. マルチツールは本当に必要ですか?
A. 必須ではありません。ただ、切る・締める・開ける・整えるといった小作業がたびたび発生する人には、かなり便利です。特に日常用やアウトドア用としては相性がよく、用途別の製品展開も充実しています。
Q2. ナイフベース系とプライヤー系、どちらが使いやすいですか?
A. 日常使いならコンパクトで携帯しやすいナイフベース、軽作業や整備寄りならプライヤーベースが向きやすいです。自分がどんな場面で使うかをイメージして選ぶと失敗しにくいです。
Q3. 機能数が多いほど良いですか?
A. そうとは限りません。機能が増えるほど重くなる傾向があるので、実際に使う機能が入っていて、持ち続けられるサイズであることの方が重要です。
Q4. 日本で持ち歩いて大丈夫ですか?
A. 刃物を含むモデルは注意が必要です。正当な理由なく刃物を持ち歩くことは法律で禁止されています。刃体6センチ超だけでなく、6センチ以下でも状況によって軽犯罪法の対象となる場合があります。アウトドアや作業で使う場合でも、携帯には十分注意しましょう。
さいごに
マルチツールは、使わない日は本当に使いません。
でも、必要な日は、やけに頼りになります。
なくても暮らせる。けれど、あると少し楽になる。そういう道具です。
▶ 前回:メモリーカードの話

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